家族療法の達人・東豊先生のセラピー事例を漫画化した一冊。
気になったフレーズを以下に。
- 家族療法の事例を読むうえで最も重要なことは、一つひとつの「内容(contents)」ではなく「文脈(context)」を読み取る能力をフルに活用すること。
- 家族療法は、「家族のコミュニケーションの相互作用が変わったかどうか」という文脈で思考するセラピーであるということ。
- どこにどのようにかかわろうとも、「悪い家族を良い家族に」などといった発想はまったくない。自分の基準を緩めたり置き換えたりするほうが、「家族の変化」はたやすく訪れる。
- 問題解決システムと問題持続システム。問題持続システムを一網打尽に変化させてしまうほどの力をもつのが肯定的意味づけ(positive refraiming)。
- 良いセラピーは良い関係づくりからはじまる。(ジョイニング)初回面接でセラピストに好感、信頼感、期待感といった感情がわいてこなければ、続けて会う必要はない。
- 問題に深く関与している人の存在は無視できない。
- 問題持続システムで一番注目されているものーそれはほぼ間違いなくIPーから焦点が他のコンテンツに移される。そしてそこで解決が構築されることで、家族の成長が浮き彫りになる。
- 必要にして十分な、謙虚にして大胆な、家族の成長のための少しのきっかけを与えるのがセラピストの役割。
- 家族構成員の増減、入れ替わりは新しいライフステージへの移行であり、成長の大きなチャンス。
- 家族の経過・発達のプロセスに目を配ることも大切。
- セラピストにとって必要なことは、今ここに存在している「意味」が眼前の家族の中でどのように機能しているかを評価し、問題解決の役に立つ「新しい意味」を探すこと。その再定義の方法の一つが外在化。
- プリテンディング(pretending)の方法は大きく2つ。本気の行動を「フリ」でさせること。このことでワンクッションが入り、即時的に起きていた反応が変化するとドミノ式に変化する。もう一つは本来はない行動を「フリ」でさせること。その行動が身につく。いずれもコミュニケーションの連鎖に影響を与える。
- 問題持続システムを変えるための効果的な方法の一つは、面接室を「問題を語り合う場」から「非問題を語り合う場」にじわっと変化させること。
家族療法の事例を見ていると、時々突拍子もない介入に出会いますが、根拠があるということですね。でも使いこなせるのはやはり達人です。